ユーフォルビア・峨眉山(Euphorbia abdelkuri)とは
ユーフォルビア・峨眉山は、ソコトラ諸島原産のユーフォルビア属植物で、扁平かつ不定形に肥大する幹と、彫刻的なシルエットを特徴とする極めて個性的な種です。サボテン的な柱状ユーフォルビアとは異なり、「造形そのもの」を鑑賞するコーデックス系ユーフォルビアとして高く評価されています。
成長は非常に緩やかで、環境に適応するまでに時間を要しますが、安定すると他の植物には代えがたい存在感を放ちます。国内流通量は限られるものの、近年は実生株を中心に徐々に市場に定着しつつあります。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Euphorbia abdelkuri |
| 別表記 | アブデルクリ |
| 科 / 属 | トウダイグサ科 / ユーフォルビア属 |
| 原産 | ソコトラ諸島(イエメン) |
| 生育型 | 夏型 |
| 休眠傾向 | 低温期に生育停滞しやすい |
名称と表記について
日本では「峨眉山(がびさん)」という園芸名が強く定着しており、学名よりも和名で認識されることが多い植物です。一方、海外情報や文献では学名表記が基本となるため、検索時は併用が有効です。
| 区分 | 表記例 | 補足 |
|---|---|---|
| 本ページの表記 | 峨眉山 | 国内園芸で一般的 |
| 学名表記 | Euphorbia abdelkuri | 正式な分類名 |
| 和名・通称 | 峨眉山 | 幹の造形に由来 |
| カタカナ表記ゆれ | アブデルクリ / アブデルクリー | ラテン語読みによる差 |
| 検索のコツ | ユーフォルビア 峨眉山 / Euphorbia abdelkuri | 和名+学名が最短 |
名前と分類についての整理
峨眉山はユーフォルビア属の中でも特に特異な形態を持つ種で、ソコトラ諸島固有の進化系統に属します。柱状・多肉質ユーフォルビアとは明確に異なり、園芸的には「塊根ユーフォルビア」「造形ユーフォルビア」として扱われます。
分類上の混乱は少なく、Euphorbia abdelkuri として安定して整理されています。
保全・流通背景(輸出入・規制の考え方)
峨眉山はユーフォルビア属としてCITES(ワシントン条約)の管理対象に含まれます。自生地が極めて限定的であることから、野生個体の採取・流通は問題視されやすく、現在の園芸流通は実生・栽培由来株が前提です。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| CITES(ワシントン条約)掲載 | 掲載あり | ユーフォルビア属として管理 |
| 附属書 | 附属書II | 国際取引は許可制 |
| 野生由来個体の国際取引 | 原則不可 | 商業流通は栽培株前提 |
| 園芸流通で主流の株タイプ | 実生株 | 近年は国内実生も流通 |
| 購入時の確認ポイント | 栽培由来・来歴説明 | 野生株表記には注意 |
形態の特徴
幹(塊根)
峨眉山の幹は扁平かつ不定形に肥大し、岩石や彫刻のような質感を持ちます。成長に伴い幹の厚みと複雑さが増し、個体ごとの造形差が非常に大きく現れます。
いわゆる球状塊根とは異なり、「形を作る」というより「形が現れてくる」タイプの植物です。
トゲ
明確な鋭いトゲはなく、表皮は比較的滑らかです。取り扱い時の物理的な危険は少ないものの、切り口から出る白い樹液(ユーフォルビア特有の乳液)には注意が必要です。
葉
成長期に幹の縁や上部から小型の葉を展開します。葉は一時的なもので、環境や季節によってはほとんど確認できないこともあります。
花
花は小型のサイアチウムで、幹の縁付近に形成されます。観賞価値は低く、峨眉山は基本的に幹の造形を楽しむ植物です。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 花色 | 黄緑色 | 小型 |
| 花の印象 | 目立たない | 造形重視 |
| 開花しやすさ | 低め | 成熟株のみ |
| 開花時期 | 夏 | 高温期 |
| 香り | なし | |
| 鑑賞ポイント | 幹の質感と輪郭 | 年数で完成度が上がる |
自生地の環境
ソコトラ諸島は年間降水量が極めて少なく、強烈な日差しと乾燥した風にさらされる環境です。峨眉山は岩場や石灰岩質の斜面に自生し、極端な乾燥と短い湿潤期に適応しています。
自生地から読み解く生理的な特徴
乾燥耐性は非常に高い一方で、根域が長く湿る環境や低温多湿には弱い性質を持ちます。成長スピードは遅く、急激な環境変化や過剰な管理を嫌います。
日本の環境で失敗が起きやすい理由
日本では冬季の低温と湿度の高さが最大のリスクとなります。用土が乾きにくい状態で水を与えると、幹や根が傷みやすくなります。
また、光量不足の室内管理では形が崩れやすく、成長が極端に鈍化します。
栽培管理を考える前に(全体設計の考え方)
「強光・高排水・乾燥気味」を基本とし、特に低温期は断水寄りで管理します。成長させようとせず、現状維持を目標にするくらいが長期安定につながります。
栽培条件サマリー
屋内管理
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 光 | 強光 |
| 温度 | 20〜30℃ |
| 水やり | 成長期のみ、控えめ |
| 管理の難度 | 高 |
屋外管理
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 光 | 春〜秋は直射日光 |
| 温度 | 冬は屋内管理必須 |
| 水やり | 乾いたら少量 |
| 管理の難度 | 高 |
まとめ(完全攻略の要点)
- ソコトラ諸島原産の極めて造形的なユーフォルビア
- 峨眉山の名の通り、幹そのものが最大の鑑賞ポイント
- CITES附属書II対象で、流通は実生株が前提
- 低温期の過湿と光不足を避けることが最重要
ユーフォルビア・峨眉山は、「育てる植物」というより「完成度を保つ植物」です。環境を整え、過干渉を避けることで、年数とともに唯一無二の存在感を増していきます。

コメント