コミフォラ・カタフ

コミフォラ・カタフ コミフォラ

コミフォラ・カタフとは

コミフォラ・カタフは、アフリカ北東部(エチオピア・ソマリア・ケニアなど、南はタンザニア北部まで)からアラビア半島南西部(イエメン・サウジアラビア)の乾燥地に分布するカンラン科の塊根植物(コーデックス)です。白〜黄みを帯びた白の樹皮が薄紙状に剥がれ、その下から青緑色の内皮が現れる姿が、コミフォラ属の中でも本種が特に注目される理由のひとつです。

自生地では高さ3〜8mほどの小高木になり、幹の太さは12〜20cmほどです。日本のコーデックス愛好家の間でも近年注目度が上がっており、コミフォラ属の中では国内流通量が最も多い種とされています。

コミフォラ属はブルセラ属と同じカンラン科(Burseraceae)に属する近縁属で、芳香性の樹脂を持つ種を多く含みます。管理の基本的な考え方はブルセラ属に共通しており、強光・超排水性用土・冬の断水を軸に置いた夏型植物として扱います。

基本情報

項目 内容
学名 Commiphora kataf
別表記 カタフ / コミフォラ カタフ
科 / 属 カンラン科(Burseraceae)/ コミフォラ属(Commiphora)
原産地・自生環境 エチオピア・ソマリア・ケニアなどアフリカ北東部(南はタンザニア北部まで)と、アラビア半島のイエメン・サウジアラビア。ソマリアでは標高75〜1560m
生育型 夏型(春〜秋が成長期、冬が休眠期)
耐寒温度(乾燥状態での下限) 10℃前後
成株のサイズ目安 樹高3〜8m程度、幹径12〜20cm程度(自生地)
栽培難易度 中級。コミフォラ属の中では比較的育てやすいが情報が少ない
夏型中級丸型

学名の分類情報はPlants of the World Online(POWO)、分布・標本データはGBIFで確認できます(2026年9月確認)。

  • 白く薄紙状に剥がれる樹皮が特徴で、緑〜灰緑色でなめらかに剥離するワイルディや、白色〜淡緑白色が薄紙状に剥がれるマルロシーとは樹皮の色・剥離感が異なる。
  • 8種の中で国内流通量が最も多く、流通量の少ないオボバタとは入手性が対照的。
  • アフリカ東部〜アラビア半島原産で、マダガスカル産のフンベルティ・オルビクラリス・モンストローサとは自生地が大きく異なる。

名称・分類について

コミフォラ・カタフは流通上「カタフ」と呼ばれることが多い種です。コミフォラ属はミルラ(没薬)を産出するCommiphora myrrhaを含む属として歴史的に知られており、属全体として芳香性樹脂を持つ特徴があります。カタフも乾燥させると独特の香りを持ち、自生地では古くから樹脂が利用されてきました。

区分 表記例 補足
本ページの表記 カタフ / Commiphora kataf 流通で使われる呼称です
属の位置づけ カンラン科 Burseraceae ブルセラ属と同科の近縁属
最大の識別点 白く薄紙状に剥がれる樹皮 マルロシーと並ぶ白い樹皮が特徴
和名 特になし(学名表記が一般的) 流通では学名または「カタフ」で検索
検索のコツ コミフォラ カタフ / Commiphora kataf 日本語と学名の両方で探すと情報に辿り着きやすくなります
旧学名・流通名 ホルトジアナ / Commiphora holtziana Engl. カタフのシノニム(異名)。POWOなど権威ある分類データベースではカタフに統合済み。日本市場では「ホルトジアナ」名義で流通する個体もある

コミフォラ属はブルセラ属と同じカンラン科に含まれており、管理の考え方に多くの共通点があります。カタフはアフリカ東部からアラビア半島という広い分布域を持ち、原産地ごとに樹形や樹皮の質感が異なる個体が流通することもあります。なお、日本市場では「ホルトジアナ(Commiphora holtziana)」という名称で流通する個体がありますが、これはカタフのシノニム(異名)です。Plants of the World Online(POWO)をはじめとする権威ある分類データベースでカタフに統合されており、栽培管理の方針も同一です。

規制と流通

コミフォラ属で附属書IIに掲載されているのはインドなどに分布する薬用種のCommiphora wightiiで、カタフはワシントン条約(CITES)の附属書に掲載されていません(2026年9月時点、Species+で確認)が、原産国の自然保護法による採取・輸出規制が設けられている場合があります。現地球(現地採集株)を購入する際は、正規の輸入ルートを経た個体であることを確認することを推奨します。

国内流通においては、SEEDSTOCK・Plant Brothers をはじめ複数の専門店が取り扱っており、コミフォラ属の中では最も流通量の多い種のひとつとされています。実生株を中心に比較的入手機会があるため、コミフォラ属を初めて育てる方にも選びやすい種です。

詳細はワシントン条約(CITES)ガイドをご覧ください。

形態の特徴

幹・茎

カタフ最大の特徴は、白〜黄みを帯びた白の樹皮が薄紙状に剥がれることです。剥がれた樹皮の下からは青緑色の内皮が現れます。自生地でははっきりした幹を持つ小高木になり、ソマリアの植物誌(Flora of Somalia)は高さ8m(まれに10m)まで、東アフリカの植物誌(Flora of Tropical East Africa)は高さ3〜6m・幹の太さ12〜20cmと記載しています。

葉

葉は3枚の小葉からなる三出複葉(まれに5小葉)で、小葉の縁には浅い鋸歯があります。落葉性であり、成長期(春〜秋)に展開し、冬の休眠期には落葉します。葉が落ちた後も幹や枝の白い樹皮が際立ち、冬場の観賞価値も高い種です。

花・果実

花は小さく目立ちませんが、果実が熟すと赤く色づきます。コミフォラ属全般に共通して芳香性の樹脂を幹・枝から分泌し、乾燥させると独特の香りがあります。

項目 内容 補足
樹皮の色 白〜黄みを帯びた白 マルロシーと並ぶ白い樹皮
樹皮の特徴 薄紙状に剥離する 下から青緑色の内皮が現れる
幹の形状 はっきりした幹を持つ小高木 自生地で幹の太さ12〜20cm
葉の形状 三出複葉(まれに5小葉) 落葉性。冬に落葉し春に展開
果実 熟すと赤く色づく 花は小型で目立ちにくい
樹脂 芳香性樹脂を分泌 乾燥させると独特の香りがある

自生地と育て方の考え方

エチオピア・ソマリア・ケニアなどアフリカ北東部から南はタンザニア北部まで、アラビア半島ではイエメン・サウジアラビアにかけての広い地域が自生地です(POWO のもとになる名簿 WCVP による)。季節によって乾燥する熱帯に生え、ソマリアでは標高75〜1560mで記録されています。

自生地の条件から、乾燥への耐性は高い一方、過湿には非常に弱く根腐れのリスクが高いことが読み取れます。成長速度は一般にゆっくりであり、急成長を促そうとして過肥料・過水で対処することは逆効果になりやすいとされています。日本の環境では、冬の過湿による根腐れと光量不足が主な失敗パターンです。コミフォラ属はブルセラ属より栽培情報が少ないため、個体の状態を慎重に観察しながら管理することが重要です。

管理の基本方針はブルセラ・ファガロイデスやコミフォラ・マルロシーに近い考え方です。排水性の確保と冬の断水管理、根の健全な維持を軸に置いてください。

育て方

コミフォラ・カタフはアフリカ東部〜アラビア半島原産の夏型塊根植物です。乾燥への耐性は塊根植物の中でも特に高く、水の与えすぎが最大のリスクです。コミフォラ属全体に共通する芳香性樹脂を持ち、その管理方針はブルセラ属と多くの点で共通します。

カタフの光・置き場所の管理は?

生育期(5〜9月)は屋外で直射日光に1日4〜8時間以上当てるのが目安で、高温と直射日光を好みます。春に屋外へ出すときは明るい日陰から1〜2週間かけて慣らします。室内管理では光量が不足しやすく、徒長や軟弱化の原因になるため、できる限り屋外栽培を優先してください。自生地が岩場の強光環境であることを念頭に、日本でも遮光なしの直射日光に慣らすことを目指します。

詳しくは光と置き場所を参照してください。

カタフの温度管理と越冬方法は?

冬は最低10℃を目安に、霜の当たらない室内で管理します。最低気温が15℃を下回り始めたら準備し、10℃を下回る前に室内へ取り込みます。冬は落葉して休眠するため断水管理に切り替え、室内の明るい場所で管理します。アラビア半島を含む広い分布域を持つ種ですが、日本の冬の湿度と低温の組み合わせには弱いため注意が必要です。

詳しくは温度管理と越冬を参照してください。

冬越しの具体的な手順(取り込み・断水と加温・春の戻し方)は冬の管理で解説しています。

カタフの水やり頻度と量は?

生育期は鉢の中が乾ききってからさらに数日待って鉢底から流れ出るまで与え、真夏は5〜7日に1回程度が目安です。最低気温が15℃を下回ったら10〜14日に1回、10℃前後で月1〜2回に減らし、10℃を下回ったら断水します。休眠期は原則断水し、塊根と枝の状態を観察しながら必要なら月1回程度の少量にとどめます。過湿による根腐れがコミフォラ属の最も一般的な失敗原因です。

詳しくは水やりの基本を参照してください。

カタフへの肥料の与え方は?

4〜9月の生育期に、規定より薄めた液体肥料を2〜3週に1回(月1〜2回)程度与えるのが目安で、休眠中は与えません。緩効性肥料を使う場合も少量にとどめ、パッケージの持続期間に合わせて置き直します。自生地が痩せた岩質土壌であることから、過剰な肥料は根を傷める原因になります。

施肥の基本は肥料の基本を参照してください。

カタフに合った用土と配合は?

排水を最優先し、軽石50%・日向土30%・硬質赤玉土20%の過湿対策ブレンド寄りの配合が目安です。軽石や砂の比率を高めた粗粒系の用土が適しています。有機質の多い培養土は過湿を招きやすいため避けてください。

カタフの鉢の選び方と植え替え時期は?

根の過湿を嫌うため素焼き鉢との相性が良く、植え替えは春の発芽直前が適期です。詳しくは植え替え方法を参照してください。

鉢の素材やサイズの選び方は塊根植物の鉢の選び方を参照してください。

実生株と現地株の違い

カタフは実生株と現地球(現地採集株)の両方が流通しています。コミフォラ属の中では国内流通量が多い種ですが、それぞれの特徴を把握したうえで選ぶことが重要です。ホームセンターでの遭遇率は依然として低いですが、コミフォラ属の中では国内流通量が最も多い種のため、大型ホームセンターの塊根植物コーナーで時折見かける可能性はゼロではありません。ただし常時安定して並ぶ植物ではなく、専門店やネット通販が主要な入手経路であることに変わりはありません。

項目 現地株 実生株
入手しやすさ 流通数は限られる コミフォラ属の中では比較的入手しやすい
株の状態 現地掘り上げのため根の状態に注意が必要 根が充実しており安定しやすい
立ち上がりの容易さ 根の回復に時間がかかる場合がある 管理しやすい

「実生株」「現地株」という呼び方の意味や、どちらを選ぶかの一般的な目安は実生株と現地株の違いで、タネから育てる場合の用土・腰水・発芽温度などの手順は塊根植物の実生(タネまき)のやり方で解説しています。

よくあるトラブルと対処

症状 主な原因 対処
冬に落葉する 正常な休眠 断水して管理。幹に張りがあれば問題なし
幹が間延びする 光不足 より明るい場所へ移動。屋外の直射日光が理想
根腐れ 過湿・水はけ不良 排水性を高め、冬は断水を徹底する
樹皮が剥がれてきた 正常な生理現象 本種の特徴。幹の柔化・変色がなければ問題なし
春になっても展葉しない 根の状態不良・低温 根の健全性を確認し、最低10℃以上の環境を確保する

まとめ

  • 白く薄紙状に剥がれる樹皮がカタフ最大の魅力。
  • コミフォラ属の中で国内流通量が最も多く、初めてのコミフォラに選びやすい種。
  • 超排水性用土と冬の断水が栽培の最重要ポイント。
  • 強光を好むため、成長期は屋外での直射日光管理が基本。
  • 成長はゆっくりだが、芳香性の樹脂と独特の樹皮が長期にわたって楽しめる。

よくある質問(FAQ)

コミフォラ・カタフはブルセラと同じように育てられますか?

基本的な考え方は共通しています。同じカンラン科(Burseraceae)の近縁属であり、強光・超排水性用土・冬の断水という管理方針はブルセラ・ファガロイデスに準じます。ただし耐寒性はカタフの方がやや低く、最低気温10℃を目安にするとより安全です。コミフォラ属はブルセラ属より栽培情報が少ないため、個体の様子を慎重に観察しながら管理することが重要です。

カタフは冬に葉が全部落ちてしまいました。枯れていますか?

落葉は正常な休眠のサインです。カタフは冬に落葉する傾向があり、幹がしっかり張りを保っていれば問題ありません。断水または月1回程度の極少量水やりで乾燥気味に管理し、春の展葉を待ちましょう。幹が柔らかくなっていたり変色している場合は過湿や根腐れを疑ってください。

カタフの樹皮が剥がれてきていますが、病気ですか?

正常な生理現象です。カタフの純白の樹皮が薄紙状に剥離することは本種の最大の特徴であり、健全な株でも起こります。剥がれた樹皮の下が緑色であれば問題ありません。幹が柔らかくなっていたり変色している場合は過湿や根腐れを疑ってください。

カタフの現地球を購入しましたが、なかなか根付きません。どうすればよいですか?

現地球は掘り上げ後に根がダメージを受けている場合が多く、発根・安定に時間がかかります。まず超排水性の用土に植え、直射日光を避けた明るい場所で管理します。水やりは最初は控えめにし、幹に張りが戻ってきたことを確認してから通常管理へ移行します。発根まで数ヶ月かかることもあるため、焦らず観察を続けてください。

「ホルトジアナ」と「カタフ」は別の植物ですか?

同じ植物です。Commiphora holtziana はCommiphora kataf のシノニム(異名)で、POWO(Plants of the World Online / Kew Science)などの権威ある分類データベースでカタフに統合されています。日本市場では「ホルトジアナ」という名称で販売される個体がありますが、栽培方法はカタフとまったく同じです。業者によっては「ホルトジアナ(kataf)」と並記していることもあり、これは「カタフの旧名・別名がホルトジアナ」という意味合いで使われています。