発根促進剤の種類と使い方|塊根植物の発根管理に使えるアイテム

白い容器と小皿に取り分けた白い粉、無地のボトル、鉢植えの塊根植物 作業・メンテナンス

発根促進剤とは

発根促進剤は、挿し木の切り口から根が出るのを助ける薬剤で、塊根植物の発根管理や挿し木で使われます。
ワシントン州立大学は、挿し木の発根によく使われる成長調整物質として、インドール酪酸(IBA)とナフタレン酢酸(NAA)を挙げています。国内で農薬として登録されている製品では、ルートンの有効成分はα-ナフチルアセトアミド、オキシベロン液剤はインドール酪酸です。

ノースカロライナ州立大学は、発根剤は特に発根しにくい木の挿し木で、根が出る割合と速さ、そろい、根の数と質を高めるとしています。
一方でワシントン州立大学は、発根しにくい植物は合成のオーキシン(発根剤)を使っても発根しないことがあるとしています。バーモント大学は観葉植物の挿し木で、発根剤は必須ではないとしています。
塊根植物では、メキシコ国立自治大学のボンフィルらがブルセラ7種の挿し木で、インドール酪酸の粉を使った場合と使わない場合を比べています。よく発根したフガロイデス(70%)とグラブリフォリア(51%)では、インドール酪酸を使っても発根は増えていません。
輸入株(未発根株)で発根剤を使った場合と使わない場合を比べた結果は確かめられていません。

ルートンもオキシベロン液剤も、農薬登録の使い方は挿し穂の基部に使う方法です。輸入株(未発根株)の根の切り口に使う方法は登録にありません。

このページでは、農薬登録のあるルートン(粉末)とオキシベロン液剤(液体)を扱います。活性剤(メネデールなど)の使い方は活性剤・メネデールの使い方で解説しています。

どちらを使うか:使い方の違いで選ぶ

  • 粉を挿し穂の基部にまぶす、または水で練って切り口に塗る → ルートン
  • 水で薄めた液に挿し穂の基部を浸す(濃い液に短い時間、または薄い液に長い時間) → オキシベロン液剤

どちらの効果が高いかを比べた大学や公的機関の情報は確かめられていません。

主な発根促進剤の種類と特徴

このページで扱う2つの発根促進剤の、有効成分と農薬登録の使い方です。

使う前に、製品のラベルにある使用上の注意(保護具・保管のしかたなど)を確かめてください。食品の容器には移さず、子どもやペットの手の届かない場所に保管します。

製品名 有効成分 登録の使い方 主な注意点
ルートン(粉末) α-ナフチルアセトアミド さし穂の基部に、薄い層が付く程度に粉をまぶす(水で練って塗る方法もある) 多量に厚く塗らない
オキシベロン液剤(液体) インドール酪酸(IBA) 水で薄め、さし穂の基部を浸す(2倍なら5〜10秒、200〜400倍なら12〜24時間) 薄める倍数と浸す時間の組み合わせを登録どおりに守る

ルートン(粉末タイプ)

ルートンは粉末の発根促進剤です。
有効成分はα-ナフチルアセトアミドで、農薬として登録されています(登録番号 第6071号)。
登録の使い方は、さし穂の基部を3cmほど水に浸し、薄い層が付く程度に粉をまぶす方法と、粉を水で練ってペースト状にし、切り口に塗って日陰で乾かしてから挿す方法の2つで、多量に厚く塗らないようにとされています。

オキシベロン液剤(液体タイプ)

オキシベロン液剤は、インドール酪酸(IBA)を0.40%含む液体の発根促進剤で、農薬として登録されています(登録番号 第11790号)。
塊根植物は登録の作物名に個別には載っていません。近いのは「花き類・観葉植物(カーネーション、きく及びチューリップを除く)」の欄で、さし木の発根促進に、2倍に薄めてさし穂の基部を5〜10秒浸す方法と、200〜400倍に薄めて12〜24時間浸す方法が登録されています。使用は1回です。
濃い液(2倍)は短時間、薄い液(200〜400倍)は長時間という組み合わせになっているため、濃い液に長く浸さないようにします。

使い方の基本(切り口への付け方・希釈濃度・使いすぎのリスク)

発根促進剤を使う際には、以下の基本を守ることが大切です。

切り口への付け方

粉末タイプ(ルートン)は、薄い層が付く程度にまぶし、厚く塗らないようにします。
登録の使い方では、さし穂の基部を水に浸してから粉をまぶすか、水で練ったペーストを塗って日陰で乾かしてから挿します。

塊根植物の挿し木では、南アフリカ国立生物多様性研究所(SANBI)が、パキポディウム・ビスピノーサムは数日乾かして切り口にカルスができてから発根剤をつけるとし、アデニウムでは発根剤の粉をつけてから約1週間乾かす方法も挙げています。どちらも製品を指定していないため、ルートンの登録の使い方とは別の例です。

ノースカロライナ州立大学は、粉は使う分だけ別の容器に取り、挿し穂の基部が乾いていれば水で湿らせてから付け、余分は軽くたたいて落とし、残った粉は元の容器に戻さず捨てるとしています。

液体タイプ(オキシベロン液剤)は原液では使わず、登録の倍数(2倍または200〜400倍)に薄めて使います。

希釈濃度の目安

メネデールなど活性剤の希釈率については活性剤・メネデールの使い方で解説しています。
オキシベロン液剤の薄める倍数と浸す時間は、オキシベロン液剤(液体タイプ)の節のとおり農薬登録で決まっています。
発根促進剤の希釈倍率は製品によって異なるため、ラベルの指示に従うことが基本です。

使いすぎのリスク

ルートンは登録の使い方で、多量に厚く塗らないようにとされています。オキシベロン液剤は、濃い液に長く浸す使い方が登録にありません。
量・倍数・時間は登録の範囲で使います。塗りすぎたり濃すぎたりしたときに塊根植物でどうなるかは確かめられていません。

発根促進剤と発根管理の環境

ワシントン州立大学のとおり、発根しにくい植物は発根剤を使っても発根しないことがあります。発根剤を使うかどうかにかかわらず、発根管理では次の点を確かめます。

  • 温度:株の生育期の暖かい時期に管理します。冬型の属は葉が出ている生育期に行います(詳しくは発根管理の温度の節)。
  • 用土:ノースカロライナ州立大学は、挿し木の用土を、清潔で肥料分が少なく、水はけがよく、適度に水を保つものとしています。
  • 水やりと光:植え付けてからの水やりと光の当て方は、発根管理のステップ6と「発根管理の環境づくり」にまとめています。

ルートンとオキシベロンはどちらが効果が高いですか?

効果を比べた大学や公的機関の情報は確かめられていません。違うのは成分と使い方で、ルートン(α-ナフチルアセトアミド)は粉を挿し穂の基部にまぶすかペーストにして塗り、オキシベロン液剤(インドール酪酸)は2倍に薄めて5〜10秒、または200〜400倍に薄めて12〜24時間、基部を浸します。

オキシベロンの希釈濃度はどのくらいが正しいですか?

農薬登録では、花き類・観葉植物(カーネーション・きく・チューリップを除く)のさし木に、2倍に薄めて基部を5〜10秒浸す方法と、200〜400倍に薄めて12〜24時間浸す方法が決められています(塊根植物は作物名に個別には載っていません)。濃い液に長く浸すのは登録にない使い方です。使う前に製品のラベルを確認してください。

発根促進剤なしでも発根できますか?

バーモント大学は観葉植物の挿し木で、発根剤は必須ではないとしています。塊根植物では、メキシコでブルセラ7種の挿し木を比べた試験で、よく発根したフガロイデスやグラブリフォリアは、インドール酪酸を使わなくても発根し、使っても発根は増えていません。輸入株(未発根株)で使った場合と使わない場合を比べた結果は確かめられていません。

発根促進剤を塗りすぎたらどうなりますか?

塗りすぎたときに塊根植物でどうなるかは確かめられていません。ルートンは登録の使い方で多量に厚く塗らないようにとされ、ノースカロライナ州立大学も粉の余分は軽くたたいて落とすとしています。オキシベロン液剤は、薄める倍数と浸す時間を登録どおりに守ります。

まとめ

  • 発根促進剤は挿し木の発根を助ける薬剤で、発根しにくい植物は使っても発根しないことがある(ワシントン州立大学)
  • このページで扱うのは、農薬登録のあるルートン(粉末)とオキシベロン液剤(液体)。どちらも登録の使い方は挿し穂の基部に使う方法
  • ルートンは薄い層が付く程度にまぶし、オキシベロン液剤は薄める倍数と浸す時間の組み合わせを登録どおりに守る
  • ルートンとオキシベロン液剤のどちらの効果が高いか、輸入株で使わない場合と比べてどうかは確かめられていない。ブルセラの挿し木では、発根剤を使っても発根が増えない種がある
  • 温度・用土・水やり・光は、発根管理のページで確かめる

発根管理の全体的な流れについては、発根管理の基本ページもあわせて参考にしてください。

参考・外部リンク

参考にした資料の一覧(8件)