コナカイガラムシは白い綿状・粉状の見た目から比較的発見しやすい害虫ですが、根に潜む根コナカイガラムシは土の中で増殖するため気づかずに被害が広がることがあります。この記事では地上部だけでなく、根部にも発生する根コナカイガラムシについても解説します。地上部・根部それぞれの特徴を把握し、適切に対処することが大切です。
塊根植物に付く害虫の全体像については、病害虫の対策ページもあわせてご覧ください。
コナカイガラムシとは
コナカイガラムシはカイガラムシの一種で、体表が白い粉状・綿状のロウ物質に覆われているのが特徴です。成虫の体長は2〜4mm程度で、動きが比較的遅く、集団で茎や葉に固まっていることが多いです。
植物の汁液を吸って弱らせるほか、排泄物(甘露)にすす病菌が繁殖してすす病を誘発することもあります。発生が進むと葉が黄化・落葉し、塊根部も縮んでいく場合があります。
地上部に寄生するタイプと根に寄生するタイプの違い
| タイプ | 主な寄生場所 | 発見のしやすさ | 対処の難易度 |
|---|---|---|---|
| 地上部寄生タイプ | 茎・葉の付け根・葉の裏・新芽 | 比較的発見しやすい | 物理的除去で対応しやすい |
| 根に寄生するタイプ(ネコナカイガラムシ等) | 根・根元付近の土の中 | 発見が遅れやすい | 植え替えと合わせた対処が必要 |
根に寄生するタイプは地上からは見つけにくく、株が原因不明で弱っている・水やりをしても回復しないといったサインが続くときは、株を鉢から抜いて根を確かめます。
感染ルート
コナカイガラムシが発生する主な経路は以下のとおりです。
- 購入株・譲り受けた株からの持ち込み(見た目では分かりにくいことが多い)
- 未殺菌・使い回しの用土からの混入
- 隣接する感染株からの移動(ハイハイ幼虫や風による分散)
- 根部タイプは植え替え時に根を介して伝播することがある
新たに入手した株は2〜4週間は他の株と隔離して観察する習慣が最も有効な予防策です。
発見しやすい場所と症状
コナカイガラムシは株の特定の場所に集まりやすい傾向があります。日ごろの観察で以下の部位を意識して確認することが早期発見につながります。
| 部位 | 症状・見た目 |
|---|---|
| 茎の分岐部・節 | 白い綿状・粉状のかたまり |
| 葉の付け根・葉の裏 | 白いふわふわしたもの・白い粉が付着 |
| 新芽・成長点周辺 | 白い綿状のものが集中している |
| 根 | 地上からは見つけにくいため、株を鉢から抜いて確かめる(アリゾナ大学はアデニウムの例で、根や用土、鉢の内側に灰白色の粉状のものが付くとしている) |
葉が黄化している・成長が鈍い・水やりをしても株が元気にならないといった症状が見られる場合は、根に寄生するタイプのコナカイガラムシを疑う価値があります。
対処方法
地上部に発生している場合:物理的除去と薬剤
発生初期や範囲が限られている場合は、物理的な除去から始めるのが基本です。
- 綿棒にアルコールを含ませてコナカイガラムシを拭き取る。カリフォルニア大学の病害虫管理の解説(UC IPM)は、70%以下のイソプロピルアルコールを使い、1〜2日前に株の一部で試して葉が傷まないか確かめるとしている
- 歯ブラシで茎や葉の付け根をこすり、虫体を落とす
- 流水で洗い流せる部位は水で流す
発生が広範囲に及んでいる場合や、除去後に再発を繰り返す場合は薬剤の使用を検討します。薬剤は、使う植物とコナカイガラムシへの適用が確かめられる製品を選び、ラベルの使用方法に従って使います。適用病害虫が「カイガラムシ類」とだけ書かれた製品(カイガラムシエアゾールなど)もあります。農林水産省の農薬の審査の指針は、果樹類・樹木類の審査では「カイガラムシ類」をカイガラムシ上科の3科以上で試験して審査するとしており、コナカイガラムシ類(コナカイガラムシ科)もこの上科に含まれます。花き類・観葉植物の登録で「カイガラムシ類」がどこまでを指すかは指針に書かれていないため、迷うときはメーカーに確かめてください(農林水産省 農薬(製剤)の薬効及び薬害の試験方法等に関する審査ガイダンス、2026年10月確認)。
根に発生している場合:植え替えと合わせた対処
根コナカイガラムシは地上部に症状が出にくく、生育が明らかに鈍い・水を与えてもハリが戻らないといったサインが続くときは、根コナカイガラムシを疑い、株を鉢から抜いて根の状態を確認してください。アリゾナ大学はアデニウムの例で、根や用土、鉢の内側に灰白色の粉状のものが付くとしています。
根に寄生するタイプのコナカイガラムシは、植え替えと組み合わせて対処するのが効果的です。以下の手順が基本的な流れになります。
- 鉢から株を取り出し、古い用土を根からすべて落とす
- 根に付いているコナカイガラムシを流水・ブラシで丁寧に除去する
- 最後に根を流水でもう一度すすぎ、残った虫や白い綿状の塊を洗い流す。薬液に根を浸す方法は、スミチオン乳剤・オルトランDX粒剤とも登録にない使い方のため、この記事では勧めていません(農林水産省 農薬登録情報提供システム、2026年9月確認)
- 清潔な新しい用土で植え直す(洗ったあとの根を乾かすかどうかと日数を書いた資料は見つかっていない。カリフォルニア大学の病害虫管理の解説〔UC IPM〕は、根に付くコナカイガラムシが見つかった株は、ほかの株に移る前に早めに処分するよう勧めている)
- 植え替え後は直射日光を避けた場所に置き、水やりを再開する時期は植え替えのステップ5:水やりの再開を参考にする
弱っている株や細根が少ない状態での抜き上げ・根洗いは株への負担が大きくなります。株の状態をよく見極め、無理な処置は避けてください。
根の処理後に使用した鉢・用土は廃棄するか、しっかり洗浄・消毒してから再利用することで再発リスクを下げることができます。
予防策
コナカイガラムシは一度発生すると完全な根絶が難しいため、日ごろの予防が重要です。
- 風通しの良い環境を保つ(蒸れた環境は害虫の温床になりやすい)
- 新しく入手した株は他の株から離して数週間様子を見る(持ち込みのリスクを下げる)
- 水やり時に株全体・用土の表面を合わせて観察する習慣をつける
- 植え替え時に根の状態を確認し、異常がないかチェックする
- 窒素分が過剰になると株が軟弱になりやすく、害虫が付きやすくなるため肥料の与えすぎに注意する
- 植え替えには必ず新しい用土か殺菌済みの用土を使用する。感染株に使用した用土は廃棄し、再利用しない
- 使用した鉢は洗浄後に直射日光で十分に乾燥させるか、薄めたアルコール等で拭き取ってから再使用する
まとめ
- コナカイガラムシは白い綿状・粉状の見た目で比較的発見しやすいが、根に寄生するタイプは見逃しやすい
- 根に寄生する場合は地上から見つけにくいため、株が原因不明で弱るときは鉢から抜いて根を確かめる
- 地上部の発生には綿棒・アルコール・歯ブラシによる物理的除去が有効
- 広範囲・再発時は、使う植物とコナカイガラムシへの適用が確かめられる殺虫剤をラベルに従って使う。「カイガラムシ類」の範囲が分からないときはメーカーに確かめる
- 根に発生している場合は植え替えと同時に根を流水で洗い、清潔な用土で植え直す(洗ったあとの根の扱いを書いた資料は見つかっていない)
- 新株の隔離観察・風通しの確保・定期的な観察が予防の基本
- コナカイガラムシの被害が進むと葉落ちにつながることがある。葉落ちが続く場合は葉落ちの原因と対策も確認する
- 根コナカイガラムシの処理後は根の状態が弱くなっている。根腐れリスクが高まるため根腐れの予防策も参照する
コナカイガラムシは根に卵が残っていると再発しやすいため、処置後2〜4週間は継続して観察してください。地上部への再発がないか、株の状態が回復してきているかを確認します。
コナカイガラムシとカイガラムシの違いは何ですか?
カイガラムシは固い殻状またはロウ状の覆いを持つグループで、茎や幹に固着します。コナカイガラムシは白い綿状・粉状の物質に覆われ、移動できることが多いです。どちらも見つけしだい物理的に取り除くのが基本で、硬い殻を持つカイガラムシは歯ブラシなどでこすり落とします。薬剤を使う場合は、使う植物と対象の虫への適用が確かめられる製品を選んでください。「カイガラムシ類」とだけ書かれた製品がコナカイガラムシにも使えるか分からないときは、メーカーに確かめてください。
根コナカイガラムシはどうやって発見できますか?
根コナカイガラムシは地上から見えにくく、発見が難しいです。「生育が鈍い」「水を与えてもハリが回復しない」「原因不明で株が弱る」などのサインが続く場合は疑ってください。カリフォルニア大学は、根に付くコナカイガラムシはふつう株を掘り上げて根を出すまで見つからないとしています。株を鉢から抜いて、根を確かめてください。アリゾナ大学はアデニウムの例で、根や用土、鉢の内側に灰白色の粉状のものが付くとしています。
オルトランDXはコナカイガラムシに効きますか?
オルトランDX粒剤(有効成分アセフェート+クロチアニジン)は、花き類ではアブラムシ類への登録が中心で、コナカイガラムシへの登録はクロトンに限られます。使い方も株元に散布する方法のみで、水溶液にして根を浸す使い方は登録にありません。コナカイガラムシに薬剤を使う場合は、使う植物とコナカイガラムシへの適用が確かめられる製品を選び、「カイガラムシ類」の範囲が分からないときはメーカーに確かめてください。根に発生している場合は、根を流水で洗って植え直す方法があります(洗ったあとに根を乾かすかどうかを書いた資料は見つかっていません)。
コナカイガラムシが再発してしまいます。なぜですか?
主な原因は①根に卵や個体が残っていた、②使い回した用土や鉢から再感染した、③隣接する株から再び持ち込まれた、のいずれかです。植え替え時には必ず新しい用土と洗浄した鉢を使い、処置後も他の株と一定期間隔離して観察することで再発リスクを下げられます。
コナカイガラムシが発生しやすい環境はありますか?
風通しが悪い場所・室内管理・株が密集した環境で発生しやすい傾向があります。また、株が弱っているとき(水やりミス・根詰まり・養分不足)も被害を受けやすくなります。適切な株間を保ち、風通しを確保した管理が基本的な予防になります。
他の症状から原因を調べたい場合は、症状別トラブル診断で確認できます。葉・幹・害虫・全体的な不調など症状ごとに対処記事をまとめています。選択式で手早く絞り込みたい場合は、不調・症状診断チャートも活用できます。

