塊根植物の育成ライト完全ガイド|選び方・使い方

塊根植物の育成ライト 光・環境アイテム

室内で塊根植物(コーデックス)を育てるとき、窓辺の光だけでは屋外より大きく足りないことがあります。このページを読むと、育成ライトの種類の違い、製品に書かれた光の強さ(PPFD)の読み方、株の位置で光を測って距離を決める手順、点灯時間の考え方がわかります。

ここでは、大学の園芸の解説や論文で確かめられた範囲で書きます。塊根植物そのものでライトの距離・点灯時間・光の量を調べた試験は見つかっていないため、ほかの植物で調べた値は、どの植物の話かを添えて書きます。

なぜ育成ライトが必要か

室内の窓辺の光は、屋外の晴れた日の直射日光よりずっと弱く、直射が当たる南向きの窓の真ん前でも屋外の7〜8分の1ほどです。米国の大学の家庭園芸向けの解説では、次のような値が示されています。

場所 照度 出どころ
屋外(晴天の直射日光) 10,000〜12,000fc(約11万〜13万lx) イリノイ大学
南向きの窓の真ん前(直射が当たる) 1,500fc(約1.6万lx) イリノイ大学
南向きの窓から1.5m以内 300fc(約3,200lx) イリノイ大学
南向きの窓から約1〜3m 150fc(約1,600lx) イリノイ大学
南向きの窓から約4.5〜6m 75fc(約800lx) イリノイ大学
北向きの窓 25〜100fc(約270〜1,100lx) メリーランド大学

fc(フートキャンドル)は米国で使われる照度の単位で、1fcは約10.8lxです。表のlxの値は、fcの値を換算したものです。

メリーランド大学は、多肉植物とサボテンを「1,000fc(約1.1万lx)を超える場所」に向く植物に挙げ、その場所の例を、1日4〜6時間直射日光が入る、日よけのない南向きの出窓やサンルームとしています。ふつうの南向きの窓は500〜1,000fcの区分です。

窓ガラスも光を減らします。ペンシルベニア州立大学の教材の表では、目に見える光のうち、透明な1枚ガラスの窓(枠を含む)は約69%、透明な複層ガラスの窓は約57%を通します。屋外より3〜4割ほど少なくなる計算です。

どの値も米国の住宅での目安で、メリーランド大学は、カーテン・網戸・天気・季節・周りの木や建物の影・窓の汚れや種類で光の強さが変わるとしています。日本の住宅の窓辺で測った値は見つかっていないので、自分の置き場所は照度計で測って確かめます。窓辺の置き場所の選び方は塊根植物の光と置き場所にまとめています。

育成ライトの種類と特徴

家庭用の育成ライトは、形で大きく3つに分かれます。照らせる範囲と取り付け方が違うので、株の数と置き場所に合わせて選びます。

タイプ 形と照らす範囲 取り付け方
パネル型 平らな板にLEDを並べた形。面を広く照らす 棚の段の上に吊るす
電球型(スポット) 電球と同じE26口金の形。1〜2株を照らす製品がある E26のソケットが付いたクリップライトやスタンドにねじ込む
バー型 細長い形。棚の幅に合わせた長さ(83cm・61cmなど)の製品がある 棚板の下に結束バンドなどで付ける

※このページにはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。

距離ごとのPPFDを商品ページや商品画像で公開している育成ライトの例です。電球型は、E26のソケットが付いたクリップライトやスタンドが別に要ります。どれも商品ページにタイマー内蔵の記載はないため、点灯時間はタイマーで管理します。

BRIM SOL(E26・24W)

BRIM SOL(E⁠2⁠6・2⁠4⁠W)
電球型

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BRIM COSMO(E26・22W)

BRIM COSMO(E⁠2⁠6・2⁠2⁠W)
電球型・反射板付き

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BRIM PANEL A(29.5×29.5cm・45W)

BRIM PANEL A(2⁠9⁠.⁠5⁠×⁠2⁠9⁠.⁠5⁠c⁠m・4⁠5⁠W)
パネル型・温白色(昼白色もあり)

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HaruDesign BAR LIGHT L610(LED部分61cm・32W)

HaruDesign BAR LIGHT L⁠6⁠1⁠0(L⁠E⁠D⁠部⁠分⁠6⁠1⁠c⁠m・3⁠2⁠W)
バー型・クリップ式

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ライトを吊るす器具・スタンドの選び方は育成ライトスタンドの選び方、棚の段の高さの決め方は植物棚の選び方で扱います。

選ぶときに見る表示(PPFD・消費電力・色温度)

光の強さはPPFDで見る

PPFD(光合成有効光量子束密度、単位µmol/m²/s)は、光合成に使われる波長(400〜700nm)の光の粒が、1秒間に1m²あたりいくつ届くかを表す値です。ユタ州立大学のKusumaらは、植物の光への反応は光の粒の数で決まるとしています。これに対してルクス(lx)は、人の目の感じ方に合わせて重みを付けた明るさの値です。人の目は暗さに慣れて明るく感じてしまうため、植物がどれだけ光を受けているかを目で判断するのはほぼ無理だと、バージニア工科大学は書いています。

ルクスからPPFDへの換算係数は、光源の種類で変わります。照度計メーカーのApogee社の換算表では、太陽光は1lxあたり0.0185µmol/m²/s(1万lxで約185µmol/m²/s)、白色の蛍光灯は0.0135です。同じ1万lxでも、光源が違えばPPFDは違います。

製品のPPFDは、ライトからの距離と、どこで測った値かをあわせて見ます。電球型の製品には「PPFD 700(LED直下 約40cm)」のように、距離と測った位置を書いているものがあります。距離が書かれていないPPFDは、自分の棚でどれだけ届くかの目安になりません。パネル型・バー型で、高さごとのPPFDを図(PPFDマップ)で公開している製品なら、照射範囲の中央と端の値も読み取れます。

消費電力(W)は光の量ではない

消費電力は使う電気の量で、届く光の量ではありません。Kusumaらは、今の一般的な園芸用LED器具が電気1J(ジュール)あたりに出す光の粒を2〜3µmolとしており、同じワット数でも器具によって出る光の量は違います。比べるときは、距離ごとのPPFDを見ます。

1日の光の量(DLI)

植物が1日に受け取る光の量は、DLI(日積算光量、単位mol/m²/日)で表します。バージニア工科大学が示す式では、DLI=PPFD×点灯時間×0.0036です。たとえばPPFD 200の光を16時間当てると、200×16×0.0036で約11.5mol/m²/日です。光が弱ければ点灯時間を長くしても、強ければ短くても、1日の光の量は同じになりえます。塊根植物向けのPPFDやDLIの目標値を示した大学や植物園の解説は見当たりません。

光の色(色温度・赤青LED)

色温度(K、ケルビン)は、光の見た目の色を表す値です。コネチカット大学は、数値が低いほど赤み、高いほど青みが強く、植物の育成の指標としては情報が足りないとしています。白色LEDでは、色温度が高いほど青い光の割合が多くなります。

ユタ州立大学のCope & Bugbee(2013年)は、ダイコン・ダイズ・コムギを、色温度の違う3種類の白色LEDの下で、同じPPFDにそろえて育てました。乾物重(植物の乾いた重さ)はどの白色LEDでも変わらず、変わったのは形でした。青の少ない電球色寄りのLEDでは茎と葉が伸び、青の多い昼光色寄りのLEDでは詰まった形になりました。塊根植物で同じことが起きるかは確かめられていません。

赤と青のLEDを使ったピンク色のライトもあります。光の色ごとの効率については、Kusumaらが、光の粒1つあたりの光合成の効率は赤(660nm)が最も高く、青はそれより約2割低いとしています。一方で、白色のように幅広い色を含む光は、株の不調を見分けるのに役立つとも書いています。

査読前の論文(Sharakshane、2018年)は、白色の光なら照度計で植物に届く光を見積もれるが、白色以外の光では分光器が必要としています。ルクスからPPFDへの換算係数が光源で変わるため、ピンク色のライトの下で測った照度計の値は、白色LEDの下の値と比べられません。

距離を決める:製品のPPFDと照度計で確かめる

ライトを株から離すほど、届く光は弱くなります。ただし「距離が2倍で光は4分の1」という逆2乗の関係は、ライトの発光面の大きさに比べて距離が十分に大きいときの近似です(コーネル大学のHarbick & Mattson、2022年)。棚の中で近くから照らすパネルやバーでは、この計算どおりに減るとは限らないので、実際の値は製品の表示と照度計で確かめます。

もう一つ、照射範囲の中央と端では光の強さが違います。コーネル大学のHarbick & Mattsonは、並べたライトの下ではPPFDが中央で高く、端と角で低くなり、室内の小さな栽培ほどこの差が目立つとしています。バージニア工科大学も、ライトを近づけるとPPFDは大きく上がる一方で、光のむらが大きくなり、十分に照らせる株の数が減るとしています。

育成ライトの照射距離と、光の強さを測る位置 棚1段を正面から見た図。棚の上にパネル型ライトがあり、その下に高さの違う鉢と株が3つ並ぶ。照射距離はライトの下面から株の頂点までの距離で、製品の距離ごとのPPFDで決める。ライトの光は照射範囲の中央で強く、端で弱い。照度計の受光部は株の頂点の高さに置き、照射範囲の中央と端の2か所で測る。 パネル型ライト 中央:強い 端:弱い 端:弱い 照射距離 測る位置 株の頂点の高さ 照射距離=ライトの下面から株の頂点まで 距離は製品の距離ごとのPPFDで決める
照射距離はライトの下面から株の頂点まで。照度計は株の頂点の高さに置き、照射範囲の中央と端で測る。

このため、距離は数値の表で一律に決めず、次の手順で決めます。

  1. 製品が公開している距離ごとのPPFD(PPFDマップ)を見て、照らしたい範囲の中央と端でどれだけ届くかを確かめる
  2. 鉢と株の高さを測り、ライトから株の頂点までの距離が、その製品の表示のどの距離にあたるかを決める
  3. ライトを点けて、株の頂点の高さで、照射範囲の中央と端を照度計で測る
  4. 中央と端の値を比べる。端の値が低ければ、端の株を中央と入れ替えるか、ライトを少し上げてむらを小さくする(上げると全体の値は下がる)
  5. 葉に焼けたような変色が出たら、ライトを上げて離す

測るのは床や棚板の高さではなく、株の頂点の高さです。同じライトの下どうしなら光の色が同じなので、照度計の値をそのまま比べられます。測り方の詳しい手順はルクスメーター・照度計の選び方にまとめています。

強すぎる光で葉が傷むことは、バージニア工科大学とコネチカット大学がともに書いています。バージニア工科大学は、ライトに近すぎる株はライトを上げるよう勧めています。室内の弱い光で育った株にライトを当て始めるときは、離した位置から始め、葉の様子を見ながら近づけます。ただし、この手順や日数は育成ライトで試して確かめられたものではありません。屋外へ出すときの慣らしは塊根植物の光と置き場所を参照してください。

点灯時間

点灯時間は、光の強さとあわせて考えます。1日の光の量(DLI)は、PPFDと点灯時間の掛け算で決まるためです。

上限については、メリーランド大学とイリノイ大学が、室内の植物(観葉植物など)について、1日16時間までにするよう書いています。メリーランド大学は、自然光とライトを合わせた合計で16時間までとしています。冬に何時間にするか、夏型と冬型で時間を変えるかについては、確かめられた目安がありません。

タイマーで毎日同じ時刻に点灯・消灯すると、時間を一定に保てます。タイマーの種類と設定のしかたは育成ライト用タイマーの選び方で扱います。

24時間つけっぱなしにはしないでください。トマト・ジャガイモ・ナスなどでは、連続して光を当てると葉が黄色くなるなどの害が出ることが知られています(Haqueら、2017年)。塊根植物での試験は見当たりませんが、メリーランド大学とイリノイ大学はいずれも1日16時間までとしています。

症状別チェック:徒長・葉焼けが出たら

育成ライトを使っていても、徒長や葉焼けが出ることがあります。ライトで見直せるのは、距離・位置・点灯時間です。

徒長している(茎・葉が間延びしている)

ここではライトの距離・位置・時間の確認点をまとめます。塊根植物で、ライトの距離や点灯時間と徒長の関係は確かめられていません。一般的な植物では光が足りないと茎が伸びるため、光が足りているかを距離・位置・時間の順に確かめます。ライト以外の条件(温度・水・肥料)や、片側に傾く場合との違いは塊根植物の徒長にまとめています。

確認ポイント 見るところ 対処
距離 ライトから株の頂点までが、製品の表示で届かせたい値が出る距離より遠くないか その距離まで近づける
位置 照射範囲の端に置いた株ではないか 中央と端の値を測り、端の株を中央と入れ替える
点灯時間 光が弱いうえに点灯時間が短く、1日の光の量が少なくなっていないか 1日16時間までの範囲で点灯時間を見直す

葉焼けが出た(葉の一部が変色している)

確認ポイント 見るところ 対処
距離 株がライトに近すぎないか。株が伸びて頂点がライトに近づいていないか ライトを上げて離す
位置 照射範囲の中央(いちばん強い所)に置いた株ではないか 中央と端の値を測り、置く位置を入れ替える
当て始め 弱い光で育った株を、いきなり近い位置で照らし始めていないか 離した位置に戻し、葉の様子を見ながら近づける

よくある疑問

24時間点灯してもよいか

勧めません。トマトなどでは連続して光を当てると葉が黄色くなる害が出ることが知られており、メリーランド大学とイリノイ大学は室内の植物の点灯を1日16時間までとしています。

電気代はどのくらいかかるか

電気代(円)=消費電力(W)÷1000×1日の点灯時間×日数×電力量単価(円/kWh)で計算できます。単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込、2022年7月改定。2026年10月に確認)を使い、契約している単価がわかればその値に置き換えます。たとえば45Wのライトを1日12時間、30日点けると、45÷1000×12×30=16.2kWhで、16.2×31≒約502円です。

自然光と育成ライトは併用できるか

併用できます。メリーランド大学は、自然光とライトを合わせた合計で1日16時間までとしています。窓辺の光が届く時間も数に入れて、ライトの点灯時間を決めます。

育成ライトだけで屋外と同じ光にできるか

晴れた日の直射日光は、PPFDでおよそ2,000µmol/m²/sです(バージニア工科大学)。使っているライトの、株の頂点の距離でのPPFDと比べると、屋外との差の目安になります。

植物育成専用(赤青ライト)と白色LEDはどちらが良いか

光の粒1つあたりの光合成の効率は赤が最も高く、青はそれより約2割低いとされます(ユタ州立大学のKusumaら)。一方で白色の光は、株の不調を見分けるのに役立ち、照度計で光を比べることもできます。どちらが塊根植物に向くかを比べた試験は見当たりません。

まとめ

  • 室内の窓辺は、直射が入る南向きの窓の真ん前でも屋外の晴天の数分の1の光にとどまる
  • 製品は、ワット数や色温度ではなく、距離と測った位置が書かれたPPFDで比べる
  • 距離は、製品の距離ごとのPPFDを見て決め、株の頂点の高さで中央と端を照度計で測って確かめる
  • 点灯時間は光の強さとあわせて考え、1日16時間までにする