室内で育成ライトを使って塊根植物を育てるなら、棚はライト・ヒーターマット・鉢をまとめて載せる台になります。このページを読むと、ライトを付ける段の高さの決め方、1段あたりの耐荷重の見方、ヒーターマット・サーキュレーター・電源をどう収めるかがわかり、自分の株に合った棚を選べるようになります。屋外で使う棚の確認点も最後にまとめています。
棚の寸法や耐荷重は、メーカーが公表している仕様を例に書きます。製品ごとに値は違うので、買う前にメーカーの公式ページで確かめてください。
棚を選ぶ前に決めること
次の6点を先に決めておくと、幅・段数・段の高さを選びやすくなります。
- 管理する株の数と鉢の大きさ(棚の幅と段数が決まる)
- 育成ライトを付ける段と、使うライトの種類(段の高さが決まる)
- ヒーターマットを敷く段があるか(棚板の内寸と段の高さに関わる)
- 1段に載せる鉢の合計の重さ(1段あたりの耐荷重が決まる)
- 置くのが屋内か屋外か(屋外なら、屋外で使えると表記された製品から選ぶ)
- 棚ごと動かすことがあるか(キャスターを付けるかが決まる)
屋内用棚の選び方
育成ライトを付ける屋内の棚では、段の高さ・耐荷重・ヒーターマット・電源の4つを順に確かめます。
段の高さ:鉢と株+照射距離+ライトの厚み
ライトを各段に付けるなら、段の間の高さは次の合計より大きくする必要があります。
- 鉢と株の高さ(鉢の底から株の頂点まで)
- 照射距離(株の頂点からライトの下面まで。使うライトの距離ごとのPPFDを見て決める)
- ライトの厚み(吊り具やチェーンで吊るすなら、その長さも加える)
- ヒーターマットを敷く段なら、マットと下に敷く断熱材の厚み
たとえば、鉢と株が25cm、照射距離が30cm、ライトの厚みが4cm、マットと断熱材が3cmなら、合計62cmです。ここでの30cmは計算のための仮の値で、すすめる距離ではありません。照射距離の決め方は育成ライトの選び方の「距離を決める」で扱っています。
段の高さは、いちばん背の高い株で計算します。低い株は台に載せて頂点の高さをそろえると、同じ段の株の照射距離がそろいます。
株が伸びると頂点がライトに近づくので、段の高さに余裕があれば、あとからライトを上げて距離を戻せます。棚板の高さを細かく変えられる棚なら、株に合わせて段の間を組み直せます。たとえばドウシシャのルミナスのラックは、ポールに2.5cm間隔で刻まれた溝に合わせて棚板を上下に動かせるとメーカーが説明しています。高さを変えられる間隔(ピッチ)は製品ごとに違い、書かれていない製品もあるので、メーカーの公式ページで確かめます。
キャスターを付けると、棚全体の高さも変わります。ドウシシャのルミナス MH9015-4ANは、アジャスターを付けたときの高さ151cmに対し、キャスターを付けると156.5cmです。
1段あたりの耐荷重
棚の耐荷重には、棚板1枚あたりの値と、棚全体の値があります。たとえばルミナス MH9015-4ANは、棚板1枚あたり約135kg、棚全体で約500kg(アジャスター装着時)です。メーカーは、棚板の値を「シェルフ全面に均等荷重をかけた場合」としているため、重い鉢を1か所に寄せて置くときは余裕を見ます。
通販の商品ページでは、同じページの中で耐荷重の値が食い違っていることがあります。値が食い違うときは、メーカーの公式ページで型番を合わせて確かめてください。
1段に載せる重さは、水やり直後の鉢を体重計などで量り、その段に並べる鉢の数を掛けて見積もります。乾いたときより重くなる水やり直後の重さで見積もっておけば、耐荷重を超えにくくなります。ライトを吊るす器具の耐荷重は育成ライトスタンドの選び方で扱います。
ヒーターマットを敷く段
ヒーターマットを敷く段は、棚板の内寸がマットの大きさより大きいかを確かめます。たとえばBRIMのヒーターマット HMT-830(33×83cm)は、メーカーが幅90cmのラックに置いた例を示しており、ルミナス MH9015-4AN(棚板の内寸 幅84×奥行38.5cm)の1段に収まります。マットは棚板全体を覆う大きさでなくてもかまいません。温まるのはマットの上に置いた鉢なので、温めたい鉢が載る大きさを選びます。
BRIMは、マットの下に発泡スチロールなどの断熱材を敷くと保温効果が高まるとしています。断熱材を敷くと、その厚みのぶん段の高さが要ります。マットの選び方と温度の管理は加温グッズ・ヒーターマットの選び方を参照してください。
サーキュレーターと電源・タイマー
サーキュレーターを使うなら、棚の横や前に置く場所を空けておきます。風の当て方はサーキュレーターは必要?にまとめています。
1つの棚にライト・ヒーターマット・サーキュレーターをまとめると、電源タップやタイマーにつなぐ機器が増えます。製品評価技術基盤機構(NITE)は、延長コードやテーブルタップを、接続できる最大の消費電力を超えて使わないよう呼びかけています。つなぐ機器の消費電力(W)を足し、タップとタイマーに書かれた上限に収まるかを確かめます。たとえばHMT-830の消費電力は100Wです。
NITEは、差し込み口にほこりや水分がつくと電気の通り道ができて異常に熱くなる現象(トラッキング)も挙げています。タップやタイマーは、水やりの水がかからない棚の外側や背面の高い位置に留めます。ライトの点灯時間は育成ライト用タイマーの選び方、ヒーターマットの温度の管理は加温グッズ・ヒーターマットの選び方で扱います。
※このページにはAmazonアソシエイトリンクが含まれます。
棚板1枚あたりの耐荷重・棚板の内寸・棚板の高さを変えられる間隔をメーカーが公表している、室内用のラックの例です。数値はメーカーの公式ページか商品ページの説明によるもので、買う前に型番を合わせて確かめてください。

ドウシシャ ルミナス スリム MH9015-4A(幅91.5×奥行46×高さ151cm・4段)
室内・棚板内寸84×38.5cm・棚板1枚約135kg

山善 アーテル MNR-18875CJ(BK)(幅87×奥行39×高さ179cm・5段)
室内・キャスター付き・棚板有効内寸80×32cm・1段30kg

ドウシシャ ルミナス レギュラー NLH6012-4(幅61×奥行46×高さ120.5cm・4段)
室内・棚板内寸53.5×38.5cm・棚板1枚約250kg
段ごとの光の差
各段にライトを付けても、1つの段の中で光の強さは同じではありません。コーネル大学のHarbick & Mattsonは、ライトの下ではPPFD(光合成に使われる光の強さ)が中央で高く、端と角で低くなり、室内の小さな栽培ほどこの差が目立つとしています。
段ごとに、株の頂点の高さで中央と端を照度計で測り、値の低い端の株を中央の株と入れ替えます。測り方はルクスメーター・照度計の選び方にまとめています。窓の光だけで使う棚も、段ごと・場所ごとに測って比べると、どの株を窓に近い位置へ動かすかを決められます。窓辺に棚を置くときの場所の選び方は塊根植物の光と置き場所を参照してください。
屋外用棚の選び方
屋外に置く棚は、メーカーが屋外で使えると表記している製品から選びます。たとえばドウシシャのルミナス エクステリアラックはエポキシポリエステル樹脂塗装、ルミナス ガーデンラックは粉体塗装で、どちらも屋外で使えるラックとして売られています。
- 屋外使用の表記:商品ページかメーカーの説明に、屋外で使えると書かれているか
- 1段あたりの耐荷重:屋内用と同じく、棚板1枚あたりの値で確かめる
- 棚板の奥行:屋外用には奥行の浅い製品がある(ルミナス ガーデンラック GR7012BD-4の上3段は奥行約18cm)。置きたい鉢の直径と比べる
- 棚板の形:網(ワイヤー)の棚板は水やりの水が下の段に落ちる。下の段に置く鉢と受け皿の使い方を決めておく
- 固定:強い風が吹く場所では、壁や手すりに固定できるかを確かめる
屋外で使えるとメーカーが表記しているラックの例です。

ドウシシャ ルミナス ガーデンラック GR7012BD-4(幅69.5×奥行29.5×高さ121cm・4段)
屋外・粉体塗装・上3段は奥行約18cm・棚板1枚80kg
よくある疑問
市販のメタルラックで代用できますか?
代用できます。選ぶときは、1段あたりの耐荷重をメーカーが公表しているか、棚板の高さを変えられる間隔が段の高さの計算に合うか、ライトを吊るせるポール(パイプ)の形か、棚板の内寸にライトやヒーターマットが収まるかを確かめます。
キャスター付きは必要ですか?
棚ごと動かす予定がなければ、なくてもかまいません。付けると棚全体が高くなる(ルミナス MH9015-4ANでは151cmから156.5cm)ので、置き場所の天井や窓の高さと比べておきます。
段の高さが足りないときはどうすればよいですか?
棚板の高さを変えられる棚なら、ライトを付けない段をなくして段の数を減らし、残した段の間を広げます。背の高い株だけを別の段に集めて、その段の間だけを広げる方法もあります。
まとめ
- 段の高さは、鉢と株の高さ+照射距離+ライトの厚み(+マットと断熱材の厚み)の合計で決める
- 耐荷重は棚板1枚あたりの値をメーカーの公式ページで確かめ、水やり直後の鉢の重さで見積もる
- ライト・ヒーターマットなどの消費電力の合計を、タップとタイマーの上限に収める
- 屋外では、屋外で使えると表記された棚を選ぶ

