オトンナ・カカリオイデス

オトンナ・カカリオイデス オトンナ

オトンナ・カカリオイデスとは

オトンナ・カカリオイデス(Othonna cacalioides)は、南アフリカ北ケープ州・西ケープ州のBokkeveld escarpment〜Gifbergに自生する、キク科オトンナ属の塊根植物です。和名は確認できていません。地際の茎が塊茎のように肥大する、高さ10cmほどの小型種です。

キク科の多肉植物であるオトンナ属は、多肉質の塊根と、黄色いデイジー状の頭花(複数の小花が集合した構造)を咲かせる種が多い冬型植物のグループです。カカリオイデスは、平らに露出した砂岩の岩盤のくぼみに生えます。

SANBI(南アフリカ生物多様性研究所)のレッドリストではVulnerable(危急)に評価されており、既知の自生地は6〜9地点程度と限られます。同じレッドリストは、塊根植物の愛好家に人気がある種としています。栽培難易度は上級です。

基本情報

項目 内容
学名 Othonna cacalioides L.f.(WCVP の受理名)
和名 確認できず(学名のカタカナ表記が中心)
科 / 属 キク科(Asteraceae)/ オトンナ属(Othonna)
原産地・自生環境 南アフリカ北ケープ州・西ケープ州(Bokkeveld escarpment〜Gifberg)。平らに露出した砂岩の岩盤
生育型 冬型(秋〜春が生育期、夏が休眠期)
耐寒温度(最低気温の下限) 5℃前後を目安(霜に当てない。詳細なデータは限定的)
成株のサイズ目安 高さ10cmほどまで(塊茎の径は不明)
栽培難易度 上級
冬型上級丸型

学名は、POWO が使う分類(WCVP)で Othonna cacalioides L.f. が受理名とされていることを POWO で確認できます(2026年10月確認)。よく似た Crassothonna cacalioides (L.f.) B.Nord. は、Cineraria cacalioides L.f. をもとにした別の種の学名です(Nordenstam 2012)。

  • 地際の茎が塊茎のように肥大する、高さ10cmほどの小型種。
  • 自生地は平らに露出した砂岩の岩盤のくぼみで、粗い砂が薄く積もった場所に生える。
  • 分布が狭い。Strelitzia 29 は南アフリカ北ケープ州・西ケープ州の Bokkeveld 山地から Gifberg までとし、SANBI のレッドリストは分布域(EOO)を1,936km²としている。

名称と表記について

カカリオイデスは、よく似た学名の別の種と混同されやすい種です。以下に主な表記をまとめます。

区分 表記例 補足
学名(受理名) Othonna cacalioides L.f. WCVP の受理名。国内の流通名もこの学名
混同しやすい学名 Crassothonna cacalioides (L.f.) B.Nord. 別の種(以前の名前は Othonna carnosa)。2012年に Nordenstam が Crassothonna 属を新設したときに付けられた学名
カタカナ表記 オトンナ・カカリオイデス 日本での一般的な呼称
検索のコツ オトンナ・カカリオイデス / Othonna cacalioides Crassothonna cacalioides で検索すると別の種の情報が出る

カカリオイデス(Othonna cacalioides L.f.)は、2012年に新設された Crassothonna 属には移されておらず、オトンナ属のままです。Crassothonna cacalioides は以前 Othonna carnosa と呼ばれていた別の種で、GBIF の統合分類(バックボーン)では両者が同じ種として扱われています(2026年10月確認)。調べるときは学名のあとの命名者(L.f. か B.Nord. か)も確かめてください。

規制と流通

オトンナ・カカリオイデスは、南アフリカが自国の保護のために登録したCITES(ワシントン条約)附属書IIIに掲載されています(2023年2月から。2026年10月時点、Species+で確認)。南アフリカから輸出する際には同国の輸出許可書が必要です。オトンナ属は属全体では掲載されておらず、附属書IIIに入っているのは本種のほかユーフォルビオイデス・レトロルサ・アルミアナ(O. armiana)など一部の種と、クラビフォリアなどを含むCrassothonna属(属全体)です。掲載状況は変更されることがあるため、輸出入を検討する場合はCITES公式チェックリストで最新情報を確認してください。

カカリオイデスはSANBIレッドリストでVulnerable(危急)に評価されており、既知の自生地は6〜9地点程度と限られます。違法な現地採取と農地転換が主な脅威とされているため、現地球(現地株)を検討する場合は、正規の輸入ルートを経ているかを販売者に必ず確認してください。

国内でどのくらい流通しているか、どこで手に入りやすいかは確かめられていません。購入するときは購入前に確認しておきたいポイント(生育型や株の状態の見分け方)もあわせてご覧ください。

詳細はワシントン条約(CITES)ガイドをご覧ください。

形態の特徴

塊茎

カカリオイデスの特徴は、地際の茎が塊茎のように肥大した部分です。南アフリカの植物誌(Strelitzia 29)は、塊茎状の茎から育つ高さ10cmほどの小型の多肉植物としています。塊茎がどのくらいの径まで太るか、表皮がどんな色・質感かは確かめられていません。

葉

葉は生育期(秋〜春)に塊茎から展開し、夏の休眠期には落葉します。Strelitzia 29 は、葉は綿毛に覆われた頂部から束になって出る小さな倒披針形で、ときに細かい鋸歯があり、花の時期には枯れていることも緑のこともあるとしています。葉が多肉質かどうかは確かめられていません。

花

キク科らしい黄色いデイジー状の頭花を咲かせます。自生地では5〜10月(南半球の秋の終わり〜春)に咲きます。塊茎とのコントラストが、この種ならではの鑑賞ポイントです。

項目 内容 補足
花色 黄色 キク科特有のデイジー状の頭花
花の印象 小型の頭花 塊茎とのコントラストが独特
開花時期 自生地では5〜10月 南半球の秋の終わり〜春

自生地と育て方の考え方

カカリオイデスが自生するBokkeveld escarpment〜Gifbergは、平らに露出した砂岩の岩盤という特殊な地形です。SANBI のレッドリストは、テーブルマウンテン砂岩の珪岩の岩盤にある浅いくぼみで、粗い砂が薄く積もった場所に生えるとしています。日本でいう秋〜春が生育期、夏が休眠期にあたります。

冬型のため、日本の梅雨〜夏は休眠期にあたります。過湿状態が続くと塊茎が腐敗しやすいため、夏は徹底した断水管理が必要です。

育て方

オトンナは南アフリカ・ナミビア原産の冬型塊根植物で、秋〜春に生育し夏は葉を落として休眠します。

カカリオイデスの光・置き場所の管理は?

生育期(10〜4月頃)は日当たりのよい屋外か室内の南向きの窓辺に置き、夏の休眠中(6〜8月)は直射日光を避けた風通しのよい明るい日陰に移すのが目安です。屋外に置くのは霜の心配がない10〜11月と3〜4月ごろが目安で、真冬は室内の窓辺で管理します。

詳しくは光と置き場所を参照してください。

カカリオイデスの温度管理と越冬方法は?

冬は最低5℃前後を下回らないようにし、10〜20℃程度で管理するのが目安です。霜には当てず、屋外の株は最低気温が5℃を下回る前(霜の予報が出る前)に室内へ取り込みます。本種の詳細な耐寒データは限定的なため、オトンナ属の目安に合わせています。

詳しくは温度管理と越冬を参照してください。

冬越しの具体的な手順(取り込み・断水と加温・春の戻し方)は冬の管理で解説しています。

カカリオイデスの水やり頻度と量は?

生育期(10〜4月頃)は鉢の中まで乾いたら鉢底から流れ出るまで与え、気温の低い12〜1月は月2回程度、生育が盛んな2〜3月は週1回程度が目安です。葉が黄ばみ始めたら減らし、落葉後の夏(6〜8月)は断水します。秋は新芽が動き出してから水やりを再開し、夏の休眠中は徹底した断水で塊茎の腐敗を防ぎます。

詳しくは水やりの基本を参照してください。

カカリオイデスへの肥料の与え方は?

10〜4月の生育期に、規定より薄めた液体肥料を月1〜2回程度与えるのが目安で、低温で成長が鈍る時期は間隔を空けます。5〜9月の休眠期・高温期は与えません。

施肥の基本は肥料の基本を参照してください。

カカリオイデスに合った用土と配合は?

軽石50%・日向土30%・硬質赤玉土20%の過湿対策ブレンド寄りの配合が目安で、夏の休眠中に用土が湿り続けないようにします。排水性・通気性に優れた用土が必須で、軽石や赤玉土を多く配合した水はけの良い配合を使用します。

カカリオイデスの実生と植え替え時期は?

本種の発芽の条件(温度・日数・低温処理が要るか)は確かめられていません。タネまきの一般的な手順は塊根植物の実生(タネまき)のやり方を参照してください。植え替えは生育再開前の秋口に、根の状態を見ながら行います。詳しくは植え替え方法を参照してください。

鉢の素材やサイズの選び方は塊根植物の鉢の選び方を参照してください。

実生株と現地株の違い

SANBI のレッドリストは、インターネット上で見かける株の多くが野生から採取された株だとしています。

項目 現地株 実生株
管理の難易度 輸入時の根の状態管理に高度な技術を要する 根が張った状態で流通するため、発根管理は不要
育てる目的 大きく育った塊茎の造形の鑑賞 成長過程をじっくり見守る楽しみ
ホームセンターでの遭遇率 確かめられていない 確かめられていない

「実生株」「現地株」という呼び方の意味や、どちらを選ぶかの一般的な目安は実生株と現地株の違いで、タネから育てる場合の用土・腰水・発芽温度などの手順は塊根植物の実生(タネまき)のやり方で解説しています。

よくあるトラブルと対処

症状 主な原因 対処
夏に塊茎が柔らかくなる 高温多湿による根腐れ・塊茎腐敗 断水し、風通しのよい場所に移動。腐敗部を除去して乾燥させる
生育期に葉が黄化・落葉する 過湿または根傷み 水やりを控え、根の状態を確認。必要に応じて植え替え
秋になっても新葉が出ない 夏の管理不良または根の活力低下 水やりを再開し、置き場所・根の状態を見直す

まとめ

  • オトンナ・カカリオイデスは、地際の茎が塊茎のように肥大する高さ10cmほどのキク科の冬型塊根植物
  • 学名は Othonna cacalioides L.f.。似た学名の Crassothonna cacalioides は別の種なので、調べるときに混同しない
  • SANBIレッドリストでVulnerable(危急)評価。既知の自生地は6〜9地点程度
  • 栽培難易度は上級。夏の休眠中は断水し、塊茎を腐らせない

よくある質問(FAQ)

オトンナ・カカリオイデスと学名 Crassothonna cacalioides は同じ植物ですか?

いいえ、別の植物です。カカリオイデス(Othonna cacalioides L.f.)は、WCVP でオトンナ属の受理名とされています。Crassothonna cacalioides (L.f.) B.Nord. は、Cineraria cacalioides L.f. をもとにした別の種で、以前は Othonna carnosa と呼ばれていました(Nordenstam 2012)。名前が似ているうえ、GBIF の統合分類でも同じ種として扱われているため、混同に注意してください。

オトンナ・カカリオイデスはなぜ栽培難易度が高いのですか?

冬型で、日本の梅雨〜夏の休眠中に断水して塊茎を腐らせない管理が要ります。過湿が続くと塊茎が傷みやすい種です。

オトンナ・カカリオイデスを種から育てるコツはありますか?

本種の発芽の条件(温度・日数・低温処理が要るか)は確かめられていません。タネまきの一般的な手順は塊根植物の実生(タネまき)のやり方を参照してください。